海外の市場をにらみ、エナージェルの新製品を開発。1年足らずで100万本の売上げを達成したヒット商品に!

海外の市場をにらみ、エナージェルの新製品を開発。1年足らずで100万本の売上げを達成したヒット商品に!

発売以来、濃くなめらかな書き心地やインキの速乾性が評価され、世界中のユーザーに愛されてきたエナージェル。
特に海外での評価が高く、ノック式やキャップ式、高価格帯など、
エナージェルブランドから様々な製品が誕生しています。
すでに市場が確立されているエナージェルですが、新たなニーズをキャッチしたことから、
新製品“Energel Permanent”を展開することになりました。
同プロジェクトの中心メンバーである3名の社員が、開発にまつわるエピソードを語ります。

T.W 海外営業本部 海外マーケティング部 係長 1997年入社 T.S 商品開発本部 デザイン室 プロダクトデザイングループ 1999年入社 K.K 生産本部 茨城工場 企画室 1991年入社
T.W 海外営業本部 海外マーケティング部 係長 1997年入社 T.S 商品開発本部 デザイン室 プロダクトデザイングループ 1999年入社 K.K 生産本部 茨城工場 企画室 1991年入社

“長期保存性”を加えた新製品の開発に着手。

W 社員 エナージェルは海外での売れ行きが非常に良く、右肩上がりで成長を続けている当社のパワーブランドです。このブランドをどのように育てていくかが海外マーケティングを担当している私の使命であり、常に新たな市場を探ってきました。そして、過去の市場調査や海外販社からのヒアリングの結果、書類やメモの長期間の保存に耐え得るインキへのニーズをキャッチしました。

S 社員 もともとエナージェルは染料インキを使っていて、速乾性やなめらかな書き心地、発色性の良さに特徴があります。国内向けでは、エナージェルユーロが「就活ペン」として知られているので、学生の皆さんも使ったことがあるかもしれませんね。

W 社員 今回は、インキを染料から、耐水性、耐光性の性質を持った顔料に変更し、“長期保存”の仕様を追加することに。エナージェルは卓越したインキ性能と優れたデザイン性において、世界最高品質を自負しています。信頼の象徴として、エナージェルでしか味わえない高品質の提供に努めてきました。そのため、今回のプロジェクトでもこれまで築いてきた信頼を損なわず、むしろさらに品質を高めつつ、レンジを拡充していく必要があったのです。

S 社員 ちょうど2014年の夏頃でしょうか。海外マーケティング部のW さんから新シリーズの打診を受けて、製品のデザインに取りかかったんですよね。

K 社員 私もS さんと同じぐらいの時期に、新シリーズのプロジェクトが立ち上がることを聞きました。ただ、私自身がプロジェクトに参加したのはもう少し遅くて、デザインが決まってからですね。

W 社員 デザイン案を固めるまでに、それこそ一日に何度もS さんとやりとりしましたね。

S 社員 当時のことはよく憶えていますよ。W さんに聞いた新シリーズのコンセプトを元に、まずはデザインのイメージを広げていくことから始めましたよね。

W 社員 顔料のイメージをデザインに落とし込んでいきました。

S 社員 耐水性や耐光性に優れ、長期保存に適した新製品にふさわしいイメージとして、「強い」「堅い」「永久に残る」などのキーワードを出していきました。これらのキーワードから、“アーカイバル”という単語を連想。アーカイバルは「保存する、記録する」という意味を持っており、新製品にふさわしいと確信しました。その後、アイデアスケッチの作画に取りかかりました。

“海外ユーザーの嗜好を反映させて、デザインをブラッシュアップ

W 社員 長期保存性という新たな付加価値を、どのように表現するか。S さんは光沢のある黒を提案してくれました。

S 社員 たとえば高度なセキュリティ機能を備えた情報機器や、日本に古くから伝わる漆黒の器など、長期保存に対して“黒”のイメージがあったんです。非常に強いイメージで、黒を基調としたデザインスケッチを何枚も描きました。

W 社員 その中から新製品のイメージに近いものを選び、デザインをブラッシュアップしていきました。

S 社員 軸の部分に透明な窓穴を作って、インキの残量がわかるようにしたり、アクセントカラーを大きくとってインパクトのあるデザインを狙ったり。敢えて大きな差をつけたデザイン案を描いて、比較・検討を繰り返し、最終的に金のアクセントカラーを入れたデザインと銀のアクセントカラーを入れたデザインの2案に絞り込みました。

K 社員 デザイン案を決めるにあたって、海外で市場調査を行ったんですよね。

W 社員 海外の調査会社の協力を得て、アメリカ、ドイツ、イタリア、タイの4カ国で市場調査を実施。銀をアクセントカラーとしたデザインのニーズが高いことがわかりました。ただし、アジア圏のユーザーは金色を好む傾向があることや、画数の多い漢字を書く漢字圏のユーザーは、細いペン先をより好むなどの傾向を事前につかんでいたため、これらの情報と市場調査の結果を融合させて、欧米は銀の0.7ミリ、アジア圏は金の0.5ミリをメインに打ち出すことにしました。

K 社員 欧米のユーザーはアルファベットを筆記体で書きますから、太めのペン先が主流なのですね。

S 社員 その後も、さらに微調整を行いました。たとえば、アクセントカラーをどのように配置するか。マットにするか光沢を出すか。ペン軸に配置した時のバランスを取りながら、上質さを表現できるような色や質感を求めて、何度もデザインを修正していきました。

W 社員 S さんは時々、遊び心に満ちたデザインを忍ばせてくるんですよね。私には思いもつかない発想力があって、良い刺激になりました。

S 社員 プロダクトデザインは非常にシビアです。そもそも、コンセプトから外れてしまったデザインは使えませんし。思うようにイメージをデザインに落とし込めないことも多かったんですよ。

W 社員 製品名は、「半永久的な」という意味を持つ「Permanent」を採用し、「Energel Permanent」としました。ロゴのデザインや配置も、慎重に検討していきました。

S 社員 結局、秋の企画会議の直前まで検討を重ねていったんですよね。

W 社員 企画会議でEnergel Permanentの提案が通り、正式に承認。いよいよ量産に向けて動き出すことになったのですが、試作の段階でも苦労がありました。アクセントカラーの発色にこだわり、通常の転写フィルム印刷より輝きの増す特殊な方法を採用したのですが、中々狙いの色が出ず、S さんと印刷工場まで出向き、調色を夜遅くまで何度も繰り返しましたね。

“量産、販促活動、そしてリリース。年内の売上げ目標を早くも達成

W 社員 量産にあたっては、コストコントロールの課題をクリアする必要がありました。

K 社員 W さんから直接、製造コストに関する相談を受けました。可能な限りエナージェルの既存製品と同じ部品を使うことで、コストを下げていきました。

W 社員 替芯パッケージの設計も、K さんに全面的にお任せしましたね。

K 社員 それまで協力会社に外注していた替芯パッケージやシールを、内製してはどうかと提案しました。必要な時に必要な量だけ製造できるし、効率良く低コストで作ることができます。

W 社員 パッケージはユーザーが最初に見る部分です。色の再現には特にこだわりました。K さんが社内の製造設備で作ったサンプルをチェックし、求める色が出るまで数回ほどやりとりをしました。

K 社員 安価な部品を使えばコストを下げることができますが、そうなると品質を維持するのが難しくなるし、Energel Permanentのブランドイメージから遠くなってしまいます。コストと品質のバランスには、細心の注意を払いました。

W 社員 本体からパッケージまで、クオリティに徹底的にこだわった分、Energel Permanentは私にとって特に愛着のある製品となりました。

K 社員 苦労の多かったプロジェクトでしたが、2015年春に無事にリリースされました。蓋を開けてみると、想像以上の売れ行きでしたね。

W 社員 当初、3年間で100万本の販売を見込んでいましたが、発売1年足らずでこの数字をクリアしました。

K 社員 正直、ここまで反響が大きいとは思わなかったので、驚いています。既存の部品や資材を使ってコストを抑えながらも、細かな部分にEnergel Permanentならではのこだわりを込めたので、そこが評価されたのかもしれませんね。

S 社員 独特の質感を出すためにペン軸の印刷部分に細かな縦線を入れたり、光沢を出すために印刷の工程を増やしたり。

W 社員 既存の部品でコストを抑えた分、こだわりたい部分に必要なコストをかけることができた。だからこそ、Energel Permanentの上質な世界観を具現化することができたのです。

K 社員 エナージェルは当社のパワーブランドであり、このブランドから新製品を出す以上、必ず売れるものにしなければならない。開発中、「失敗はできない」という思いはありましたね。

S 社員 エナージェルのプロダクトデザイン開発では、企画、営業、製造部門との協力の中で、主体的に仕事に取り組ませてもらっています。世界中で使われている製品なので、デザイナーとしてはプレッシャーよりもやりがいを感じることの方が多いですね。

W 社員 すでに多数の製品を展開していますが、エナージェルはこれから先も伸びていくブランドだと確信しています。

S 社員 エナージェルブランドのイメージを守りつつも、新製品で新しい機能やデザインを見せていけたらいいですね。

K 社員 ユーザーが1本目を買うまでは、マーケティング部の力。もう一度同じ製品をユーザーに買ってもらうには、工場の力が必要です。つまり、私たち製造現場は、クオリティという面を支えている。長い間、愛用してもらえる製品にするためにも、製造担当として改善を続けていきたいですね。ブランドは作っておしまいではなく、育てていくものなのですから。

プロジェクトストーリー01